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ビフィズス菌の学名はBifidobacterium、ヒトや動物の腸管に棲息する善玉菌の一種です。

1899年にフランスのパスツール研究所・ティシェ博士により健康な母乳栄養児の便(うんち)から発見されたのが歴史のはじまりです。

 

ビフィズス菌の特徴

棒状の桿菌で増殖時にYの字に枝分かれるのが特徴的。
ビフィズスのラテン語訳は“2つに分かれる”となります。

また、酸素があると生育しない偏性嫌気性菌でもあるのです。
50種以上、9亜種に分類されているものの、ヒトの腸管に棲むのは10菌種程度とされています。

乳児と成人では棲息する菌種に違いがみられますが、ビフィズス菌の一種である「Bifidobacterium longum subsp. longum」に関しては、幅広い年齢層で検出されることが分かっています。
ヒトの腸内に棲んでいるビフィズス菌は1〜10兆個と考えられています。

 

わたしたちの腸内には100種類、100兆個もの細菌が生息するといわれていますが、その10%程度にすぎません。
だからこそ腸内フローラによっては貴重な善玉菌といえます。離乳期に個数を減らしますが、その後安定し、老年期になると大幅に減少する傾向にあります。

 

ビフィズス菌の主な効果/効能/作用

・整腸作用(腸内環境を整える)
・過敏性腸症候群の改善・免疫力を高める、腸管免疫機能の向上(感染予防、発がん抑制、インフルエンザ予防)
・アレルギー症状を緩和する
・肥満を予防する
・肌トラブルを予防、改善する
・うつ病リスクを低減する

 

腸内環境を良好にする

ビフィズス菌には腸内の有害菌(悪玉菌)を抑制させる整腸作用があります。

酢酸や乳酸を生み出し、腸内のpHを低下させる働きをおこなっているからです。
腸内環境が改善されることで、有害菌が生成するアンモニアやインドールなどの腐敗産物が減少すると考えられます。

 

腸内フローラのバランスが整うことによって便通がよくなり、慢性の便秘が改善されるという研究データも出ています。
腸は消化機能を持っているだけでなく、「腸は第二の脳」と呼ばれるくらい全身に影響する器官です。
従って、腸内環境が改善することはさまざまな症状の改善につながります。

 

過敏性腸症候群の改善

IBSと略される過敏性腸症候群は、腸に異常がみられないのに下痢や便秘を繰り返す、腹部の痛みや膨満感などの症状があるといった疾患です。

現代では10人に1〜2人が過敏性腸症候群を抱えているといわれており、自覚がなくとも隠れIBSである可能性は否定できません。

過敏性腸症候群の原因は明確ではありませんが、一つに腸内フローラのバランスが崩れることが挙げられています。

腸には自律神経をコントロールする働きがあるため、腸内環境が悪くなることで自律神経にも乱れが生じるのです。

 

IBSのもう一つの原因が、過度な緊張など精神的なストレスです。
脳と腸が神経系を通して互いに影響しあう「脳腸相関」の顕著な例と考えられます。
脳が感じたストレスは腸に伝わり、その結果下痢や便秘を起こしてしまうのです。

ビフィズス菌を含めたプロバイオティクスには、IBSの二大原因を取り除き、悪循環を食い止める効果が期待できます。

 

免疫力を高める

腸管の主な働きは消化吸収ですが、最大の免疫器官と呼ばれているように免疫機能も担っています。

免疫というのは体内に侵入する細菌や病原菌、ウイルスなどから防御する力のことをいい、全身の免疫組織の60%以上が腸管にあると考えられているのです。

腸管免疫は細菌を撃退する抗体「IgA」を分泌しており、さまざまな感染症や疾患を予防する作用を持っています。

 

例えば、ビフィズス菌を用いた動物実験では、下痢の原因となるロタウイルスの感染を防御したという報告があります。
(参考文献:http://journal.kansensho.or.jp/kansensho/backnumber/fulltext/73/305-310.pdf)

ヒトを対象におこなわれた試験でも、ビフィズス菌(BB536)がインフルエンザ感染予防に役立つことが示されました。

免疫力の低下は加齢や食事、喫煙などの原因によって起こるといわれています。
免疫力が弱くなるとがんになりやすく、がん細胞を排除することができなくなってしまいます。

このことから、ビフィズス菌には発がん抑制作用も期待されています。

 

アレルギー症状の緩和

現代の日本ではアレルギー症状を持った人が増加傾向にあります。
アレルギーと一言でいっても、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎(花粉症)などいくつか種類がありますが、患者数は3人に1人の割合だといいます。

 

アレルギー人口が増加した原因として、清潔な衛生環境や動物性食品の摂取、抗生物質の過剰使用、大気汚染、アレルゲンの増加などが挙げられています。

近年注目されているのが腸内フローラの乱れ、免疫系の機能不足などによるもの。
免疫機能の多くを占める腸の状態が良くなることで、アレルギー症状が緩和できると考えられています。

実際、ビフィズス菌を用いた試験では抗アレルギー作用が確認されています。

・花粉症シーズンにスギ花粉症者を対象にビフィズス菌(BB536)を投与した結果、くしゃみや鼻水などの症状が改善した
・花粉飛散時期外にビフィズス菌(BB536)を投与した結果、即時症状では目の症状が緩和され、遅発症状では鼻や喉の症状も緩和された
(参考文献:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslab/21/2/21_2_112/_pdf/-char/ja)

 

肥満、肌トラブルの予防

実際の試験では、ヒトを対象にビフィズス菌の投与をおこなったところ体重やBMI、体脂肪率、腹部脂肪面積(総脂肪、皮下脂肪)に減少がみられたといいます。
このことから、ビフィズス菌には肥満を予防、改善する効果が期待されています。

また、ビフィズス菌はビタミンB群を合成することから、美しい肌の維持には欠かせません。
ビタミンB群は代謝をサポートする補酵素の役割をもっており、タンパク質や脂質、糖質の代謝に必要とされています。
皮膚や粘膜の健康にも大きく関わっている栄養素なのです。

さらに、悪玉菌優勢の腸内環境では、体内にフェノールと呼ばれる有害物質が蓄積され、血液を巡って皮膚にも影響を与えます。
ビタミンB群が不足すると、肌荒れやニキビ、くすみ、乾燥など肌トラブルを招く恐れがあるのです。

 

うつ病の予防や改善

医療機関と飲料水メーカーが共同でおこなった研究では、うつ病患者は健常者に比べてビフィズス菌や乳酸菌の数が少ないことが明らかにされました。

言い換えれば、善玉菌が少ないことはうつ病リスクを高める可能性があるということです。

腸内環境とうつ病の関係性は「脳腸相関」の一例としてあげられます。

ビフィズス菌や乳酸菌はストレス反応を和らげるのに効果的という報告もあり、今後はうつ病の予防や治療に活用されていくことが期待できます。

 

乳酸菌との違い

ビフィズス菌が乳酸菌と大きく異なる点は、ヒトや動物など生体の腸管にのみ棲息しているところ。

乳酸菌は乳製品や発酵食品などの自然界に棲息がみられますが、ビフィズス菌は自然界には棲息しないと考えられています。

 

また、腸内細菌に占める割合のうち、乳酸菌は1%以下と考えられています。
菌の形状も異なり、ビフィズス菌は棒状やYの字など多様性がある一方、乳酸菌は桿状もしくは球状です。

乳酸菌は乳酸を生成しますが、ビフィズス菌は乳酸に加えて酢酸も生成します。

 

ビフィズス菌の活用例

本来、ビフィズス菌は自然界に存在しないものであるため、ビフィズス菌含有の製品から意識的に摂取する必要があると考えられます。

 

例えばヨーグルトやビフィズス菌飲料、サプリメント、菌末などが挙げられます。

これらは重篤な副作用がみられず、幅広い年齢層で活用できるというメリットがあります。
ビオフェルミン錠剤などの医薬品もビフィズス菌の効果効能を得るのに有効です。

 

ただし、医薬品という性質上、痒みや発疹などのアレルギー症状や副作用が出る場合があるので注意が必要です。
また、製品によっては乳幼児や小児は服用できないものもあります。

 

<参考商品>