チアミン(ビタミンB1)の効果と効能、作用について

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【チアミンとは?】

チアミンとはビタミンB1のことであり、サイアミンと呼ばれることもあります。
チアミンは水溶性のビタミンであり、ビタミンの中で一番最初に発見されました。

チアミンは炭水化物(ブドウ糖)をエネルギーに変換するために必要不可欠な栄養素です。

日本人は白米など炭水化物を主食としているので、日本人にとっては欠かせない栄養素なのです。

また「疲労回復のビタミン」としても知られており、神経や筋肉の機能を正常に保ってくれます。
皮膚や粘膜の健康維持にも欠かせません。

 

ビタミンB1には

・チアミンにリン酸が1つ結合したチアミンモノリン酸(TMP)
・2つ結合したチアミンジリン酸(TDP)
・3つ結合したチアミントリリン酸(TTP)

があります。
それらの化合物は消化管でビタミンB1に消化された後に吸収されるため、ビタミンB1と同じ働きをします。

 

生細胞中では、チアミンにリン酸が2つ結合したTDPの形で、酵素タンパク質と結合して存在します。

食品に含まれる場合、調理されたり、消化されたり時に、酵素タンパク質が変性して、TDPが遊離し、消化管内でフォスファターゼと呼ばれる酵素によってリン酸が分離します。

するとチアミン単体となって、回腸・空腸で吸収されます。
チアミンの利用効率は約60%程度です。

チアミンは白色の結晶で、弱酸性に対しては安定しているものの、アルカリ性に対しては熱に分解されやすい性質があります。

 

【チアミンが多く含まれる食品とは?】

チアミンが含まれている食品は以下の通りです。

・穀類:玄米、胚芽精米、小麦胚芽、オートミールなど未精製のもの
・魚介類:かつお、うなぎのかば焼き
・肉類:豚肉、レバー
・野菜類:ニンニク
・卵
・大豆類
・ピーナッツ
・米ぬか
・酵母

 

特にチアミンは穀物の胚芽に多く含まれています。
しかし米や小麦の胚芽は精製される過程で失われてしまうため、精製前の玄米や胚芽麦の方がチアミンを豊富に含みます。

またチアミンは水道水に含まれる塩素によっても減少してしまうので、米を炊く時にはとぎすぎないようにしなければなりません。
さらにチアミンは、水に溶けやすく、熱にも弱いため、調理によっては30〜50%も失われてしまいます。

 

精製米や小麦の代わりに玄米や全粒粉を使った食事がおすすめ。
さらに汁ごと食べられる調理法の方が、水溶性のチアミンを効率よく摂取でいます。

またチアミンは生の貝や甲殻類、淡水魚などの魚介類に多く含まれるアノイリナーゼと呼ばれる酵素によって分解されてしまうので注意が必要です。

 

【チアミンの1日摂取量とは?不足するとどうなるの?】

チアミンは、体内で不足してしまうと糖質(ブドウ糖)がうまくエネルギーに変換されなくなってしまうため、食欲不振、疲れやすさ、だるさなどの夏バテ症状を引き起こします。

また脳や神経にエネルギーが行き届かなくなってしまうため、イライラなどの症状や集中力の低下にもつながります。
さらにチアミンが体内で減ってしまうと、脚気やウェルニッケ脳症などの症状が現れるでしょう。

脚気は足の浮腫、しびれ、動機、息切れなどを起こす病気です。

脚気は多発神経炎の一種であり、初期症状としては食欲不振、疲労感などがあります。
症状が進行すると、手足のしびれ、動悸、むくみなどの症状が見られ、重症になると心不全を起こして死亡するケースもあります。
現代の日本では、脚気を起こすことはほとんどありませんが、偏った食生活を続けているとチアミン不足になることはあります。

 

ウェルニッケ脳症は、中枢神経が侵される障害であり、重篤になると死亡するケースも。

眼球の運動麻痺、意識障害などが特徴的であり、症状が進行すると昏睡状態に陥ります。
またウェルニッケ脳症が重症化すると、コルサコフ症と呼ばれる精神病になることもあるので、チアミン不足には気を付けたいです。
このコルサコフ症は、アルコール摂取量が多い人に起こりやすく、アルコール依存症との関係も研究されています。

 

インスタント食品のような不規則な食生活を続けているとチアミン不足による脚気が起こりやすくなります。
特に多忙な方、スポーツをする方はエネルギーを活発に作り、消費しているので、体内でチアミン不足になりやすいのです。

また気温が15度から35度に上昇すると、体内で消費されるチアミンの量は3倍になると言われています。
夏の熱い時期にはチアミンの消耗が激しくなるので、夏バテを起こさないためにも積極的にチアミンを摂取する必要があります。

チアミンの1日摂取量は女性であれば
・18〜49歳 1.1mg
・50〜69歳 1.0mg
・70歳以上 0.9mg

男性であれば
・18〜49歳 1.4mg
・50〜69歳 1.3mg
・70歳以上 1.2mg

となっています。

糖質を多く摂取する人、体を頻繁に動かす人、エネルギー産生が盛んな人はチアミンをたくさん必要としているので、不足しないようにしましょう。
チアミンは水溶性ビタミンになるので、過剰に摂取しても余分なチアミンは、尿中に排泄されるため、体内には蓄積されにくいです。
そのため、耐容上限量が設定されていません。

ただ1日10gのチアミンを長期摂取すると、頭痛、イライラ、不安、脆弱化、接触性皮膚炎、痒みなどの症状が出ることもあります。
普段の食事を心がけておけば、過剰摂取になることはまずないでしょう。

 

【チアミンの効果と効能】

チアミンには

・疲労回復効果
・神経機能を正常に保つ効果
・アルツハイマー症の症状緩和

が期待できます。
それぞれまとめてみましょう。

 

<疲労回復効果>

炭水化物は3大栄養素の1つです。

この炭水化物(糖質)を代謝する過程においては、その代謝反応をスムーズに促すために酵素が必要となります。
酵素が働くためには、その酵素の働きをサポートする補酵素が必要となります。
チアミンは炭水化物の代謝反応で必要となる補酵素として働いているのです。

 

チアミンは小腸で吸収された後、リン酸と結合します。
リン酸と結合したチアミンは、補酵素であるチアミンピロリン酸(TPP)になります。

 

炭水化物(糖質)は体内で消化されるとブドウ糖に分解され、ブドウ糖は小腸で吸収されます。
ブドウ糖は、血液によって全身に運ばれ、体を動かす時に使われるエネルギーになります。

ブドウ糖がエネルギーとして変換される時には、ブドウ糖はピルビン酸という物質に変えられて、さらにアセチルCoAという物質に変換されます。
このアセチルCoAから、エネルギー物質が産生されるのです。

 

補酵素であるチアミンピロリン酸(TPP)はピルビン酸をアセチルCoAに変換する時に働きます。
そのため、チアミンが不足していると、ブドウ糖(グルコース)はピルビン酸までしか変換されないため、エネルギー物質を生成できません。

 

エネルギーになれないブドウ糖(グルコース)はピルビン酸やピルビン酸からできる乳酸という疲労物質として体内に蓄積してしまいます。
この疲労物質である乳酸が体内に蓄積してしまうと、疲労を感じやすくなったり、エネルギー不足よって、エネルギーを必要とする肝臓や腎臓などで障害が起こります。

 

またチアミンはブドウ糖(炭水化物)のエネルギー生成だけではなく、アミノ酸(タンパク質)のエネルギー生成にも関与しています。
そのためチアミン不足になると、タンパク質の代謝も滞ってしまうのです。
チアミンを積極的に摂取することで疲労を感じにくくなり、元気な体を維持できるでしょう。

 

<神経機能を正常に保つ効果>

中枢神経や手足の末梢神経の働きは、脳によって調整されます。

脳がしっかりと働くためには大量のエネルギーが必要になります。
このエネルギーはブドウ糖のみから作られます。つまりブドウ糖からエネルギーがきちんと作られなければ、脳がしっかりと働くことができません。

チアミンはブドウ糖からのエネルギー生産をする際の補酵素として働きます。
エネルギー生産が促されることで、脳神経の働きが正常に保たれます。

チアミンが不足すると、脳の働きが鈍くなるので、イライラしやすくなったり、怒りっぽくなったりします。
また集中力の低下にもつながります。
さらに脳からの指令で動いている末梢神経の働きも悪くなるので、足のしびれ、運動能力の低下などにつながります。

 

<アルツハイマー症の症状緩和>

チアミンには、脳内の神経伝達物質を正常に保つ働きがあることが、近年の研究によって明らかになってきました。

アルツハイマー型認知症患者さんの脳では、チアミンが補酵素として助けている酵素の活性が低下していることが分かっています。

そこで、チアミンをアルツハイマー型認知症の患者さんに摂取することで、症状の改善が認められました。
チアミンはアルツハイマー型認知症の予防や治療に効果があるのではと研究が進められています。