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ビタミンB6とは水に溶けやすい性質を持った水溶性ビタミンの一種で、「ピリドキシン」とも呼ばれています。

ビタミンB6はタンパク質の代謝に欠かせず、その働きにより皮膚や粘膜の健康や免疫機能などを維持しているほか、神経伝達物質の合成やホルモンバランスを整えるといった重要な役割も担っています。

 

◆ビタミンB6の主な働き/作用

◎タンパク質の代謝に欠かせない補酵素

タンパク質とは人間の身体の約20%を占め、内臓や筋肉、血液の素となる重要な栄養素で、生命維持に欠かせないエネルギーの素にもなります。

エネルギーは食事から摂取したタンパク質炭水化物・脂質の三大栄養を代謝することで作り出されますが、ビタミンB6は三大栄養素全ての代謝に欠かせず、特にタンパク質の代謝において重要な役割を担っています。

 

タンパク質を代謝してエネルギーを作り出すためには約100種類ほどの酵素の働きが欠かせず、ビタミンB6はこの酵素の働きをサポートする「補酵素」として働きます。

食事やサプリメントから摂取したビタミンB6は体内の小腸で吸収されると血液によって全身の組織へと運ばれます。

その後、リン酸と結合して「ピリドキサールリン酸」という補酵素へと変化して肝臓や脳などの臓器や筋肉に蓄えられ、エネルギー生成時に必要な分だけ消費されます。

 

◎神経伝達物質の合成促進

神経伝達物質とは脳の神経細胞と神経細胞の間で情報の受け渡しを行う物質のことで、主にアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなどがあります。

神経伝達物質が体内で合成される際にはタンパク質を構成するアミノ酸が必要となりますが、ビタミンB6が持つタンパク質代謝の補酵素としての役割はアミノ酸の代謝にも関係していることから神経伝達物質の合成を促す作用があり、神経機能を正常に保つ効果を発揮します。

 

◎炭水化物・脂質の代謝をサポート

ビタミンB6には炭水化物や脂質の代謝もサポートする補酵素としての働きもあり、食事からエネルギーの生成を促すほか、脂質を代謝することで細胞膜の成分となる脂肪酸やコレステロールが生成され、皮膚や粘膜を健康に保つ効果を発揮します。

 

◆ビタミンB6の主な効果/効能

◎動脈硬化の予防

動脈硬化とは、生活習慣や食生活の乱れなどにより本来サラサラな血液がドロドロになり、血流が滞って高血圧を引き起こしたりすることで血管にかかる圧力が増し、本来柔らかくしなやかな血管が硬くなったり血管壁が厚くなったりする状態のことで、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす原因にもなります。

 

ビタミンB6は動脈硬化の原因の一つでもある血液中のホモシステインという物質を抑制する効果があるほか、ドロドロ血液の原因であるコレステロール値を低下させる効果があるため動脈硬化の予防に繋がります。

 

◎糖尿病の改善

糖尿病とは食後の血糖値が高い状態が続く病気で、本来は膵臓が分泌するインスリンというホルモンによって血液中の糖をエネルギーへと変換します。

インスリンの分泌にはビタミンB6が関係しており、体内のビタミンB6が欠乏することによってインスリンの分泌量が減少し、糖尿病を発症する方がいます。

そういった方の場合はビタミンB6を投与することでインスリンが正常に分泌され、糖尿病を改善することができるほか、糖尿病を発症することで引き起こされる手足の痺れや神経障害を解消させることもできます。

 

◎脂肪肝の予防

ビタミンB6には三大栄養素の一つである脂質の代謝を促す作用があるため、肝臓に余分な脂質が蓄積されないように働き脂肪肝を予防する効果があります。

 

◎成長促進

ビタミンB6によってタンパク質の代謝が促進されると、皮膚や粘膜、歯、爪、髪などタンパク質が素となる組織の成長を促すことができます。

 

◎アレルギー症状の緩和

アレルギー症状は体内に侵入したウイルスなどの異物に対し、身体の防御システムである免疫機能が過剰反応することで引き起こされます。
ビタミンB6にはこの免疫機能を正常に保つ作用があり、アレルギー症状を緩和させる効果があります。

 

◎月経前症候群(PMS)の症状の緩和

月経前症候群(PMS)は女性ホルモンのバランスが崩れることにより頭痛、腰痛、肩こり、憂うつ、全身の倦怠感、イライラといった症状が現れる女性特有の疾患です。

ビタミンB6は女性ホルモンであるエストロゲンの代謝に関わっており、ビタミンB6を補給することで女性ホルモンのバランスを整えることができ、月経前症候群(PMS)の症状を緩和させることができます。

 

◎妊娠初期のつわりの緩和

妊娠初期のつわりの原因の一つがアミノ酸の一種・トリプトファンの代謝不良によるキサンツレン酸という物質の増加です。

このトリプトファンの代謝不良の原因の一つがビタミンB6の欠乏であるため、妊娠初期にビタミンB6を補給することでつわりの症状を緩和させる効果があります。

 

またビタミンB6は神経伝達物質の合成を促進する作用があることから、胎児の脳神経発達を促進させる効果もあります。

さらにピル(経口避妊薬)を服用している場合、ピルに含まれるエストロゲンによってトリプトファンの代謝が促され、体内でのビタミンB6の需要が高まるため積極的な補給が推奨されています。

 

◆ビタミンB6の欠乏・過剰摂取により現れる症状

◎欠乏時に現れる症状

・皮膚や粘膜の症状…口内炎、口角炎、舌炎、結膜炎、脂漏性皮膚炎(毛穴が開きニキビのような炎症が現れる)
・神経症状…末梢神経障害、痙攣、手足の痺れ
・身体症状…貧血、倦怠感、食欲不振、眠気、不眠症
・精神症状…不安感、イライラ

 

◎過剰摂取時に現れる症状

・腎臓結石
・感覚神経障害(手足のしびれや痛みなど、様々な感覚が正常に認識できなくなる障害)

※ビタミンB6を食事から補給する場合においては過剰摂取になる心配はありませんが、サプリメントでの大量補給を長期間続けた場合にのみ過剰摂取による症状が現れるリスクがあります。

 

◆ビタミンB6の摂取目安量とおすすめ食材

ビタミンB6の1日あたりの摂取目安量と限度量は次の通りです。

◎成人男性:1.4mg/成人女性:1.2〜1.3mg(妊婦は+0.2mg、授乳期は+0.3mg)
◎限度量:45〜60mg

ビタミンB6を食事から補給する分には過剰摂取の心配はありませんが、下記で紹介するようなビタミンB6を豊富に含む食材を毎日の食事に積極的に取り入れましょう。

◎肉類…鶏むね肉:1.06mg、牛肉(レバー):0.89mg、鶏ひき肉:0.68mg、鶏ささみ:0.60mg、豚肉(レバー):0.57mg
◎魚類…南マグロ赤身:1.08mg、黒マグロ(赤身):0.85mg、かつお:0.76mg、あじ:0.54mg、さんま:0.5mg、さば:0.5mg
◎野菜…にんにく:1.50mg、赤ピーマン:0.37mg、さつまいも:0.28mg、ブロッコリー:0.27mg、にら:0.16mg、たまねぎ:0.16mg
◎果物…バナナ:0.38mg、アボカド:0.32mg、マンゴー:0.12mg、キウイフルーツ:0.11mg、パインアップル:0.07mg
※食材100gに含有されるビタミンB6量

食生活が乱れている方の場合はマルチビタミンなどのサプリメントでの摂取をおすすめしますが、その際は過剰摂取にならないよう1日あたりの摂取量をしっかり守りましょう。